製造業におけるデジタルトランスフォーメーション

 

1 背景
2019年時点で製造業は、我が国GDPの2割以上を占め(「2021年ものづくり白書」(経済産業省等作成))、経済を支える中心的な業種の一つであるといえる。

その製造業における、デジタルトランスフォーメーションについて、経済産業省が発行する委託調査報告書に基づいて述べる。

2 報告書のサマリー
経済産業省の委託調査報告書によると、日本の製造業においては、従来から製造現場において、熟練の作業者が中心となって、高い付加価値の生産を通じて、グローバル規模での競争力を有していた。
しかし、昨今の情勢より、グローバルにおけるデジタル化が進む中で、前述にある我が国の強みである人的スキルによって実現してきた強みが、通用しない恐れがあるとのことである。

3 示された観点とそれについての考察
3-1 全社的な経営方針・目標の共有とこれに基づくDXの推進及びエンジニアリングチェーンの強化
経営層からの方針提示について、デジタル変革について、自社のビジネスモデルの変革や、エンジニアリングチェーン強化に活用する機運を高めるために、自社の経営理念を通じて、5~10年後の会社のあるべき姿を示すことが必要であると考えられる。
また、そのデジタル変革について、経営層から示された方向性へ進むために、現場層による業務プロセスの明確化や構築を行うという努力も必要であると考えられる。

3-2 自社のエンジニアリングチェーン工程の体制の可視化
製品企画、製品開発、製品設計、工程設計、受注、生産計画、製造、出荷といった工程があったとした場合、誰がどのようなプロセスを担っているのかということを、明確に定義づけておく必要があると考えられる。
また、それが明確に定義づけられている場合においても、異なる部署や異なる担当者間においても、横断的に情報を共有し、可視化することが必要であると考えられる。

3-3 従業員の持つ技術や能力の形式化・デジタル化
従業員の能力について、個人の勘やコツという領域にとどまっていることはないか。そのような勘やコツについて、明文化するなどなんらかの形式化や、データ化を検討する必要があると考えられる。

<出典:経済産業省ウェブサイト>
• 委託調査報告書「令和元年度製造基盤技術実態等調査(エンジニアリングチェーン強化のためのデジタル技術活用に向けた調査研究)製造業DXレポート ~エンジニアリングのニュー・ノーマル~(事例集)」(委託事業者名:PwCコンサルティング合同会社)
URL: https://www.meti.go.jp/topic/data/e90622aj.html