■ はじめに:10G時代の通信環境
インターネット接続において「10Gbps接続」が登場し、すでに利用されている方もいらっしゃるかと思います。ただし、対応機器の買い替えや設置環境の整備などを考えると、導入のハードルは高く、すぐに手を出しにくいのが現状です。
そこで今回は、機器の買い替えなし、しかも無料で通信速度を改善できるかもしれない「IPv6 (IPoE )」接続についてご紹介します。
■ 背景:IPv6とIPoEの登場
「IPv6」による接続サービスの恩恵を一般ユーザーが実感する機会は少なかったかもしれません。従来の「PPPoE 」接続方式では、ネットワーク終端装置の輻輳がボトルネックとなり、通信速度の低下を招くことがありました。
これに対し、「IPoE」接続方式はネットワーク終端装置を経由せず、より直接的にインターネットへ接続できるため、輻輳の回避が可能です。さらに、現在の多くのインターネットサービスは「IPv6」で提供されており、「IPoE」接続との相性も抜群です。
■ 実体験:IPv6(IPoE)接続を試してみた
私自身、長年契約しているプロバイダーでは、光回線によるベストエフォート型の200Mbps接続を利用しており、特に不満もなく使い続けていました。
ところが、ある日プロバイダーのホームページを閲覧していたところ、「IPv6(IPoE)」接続サービスが無料で提供されていることを知りました。公開されている情報をもとに、自宅のネットワーク機器の対応状況を確認したところ、特に設定変更の必要もないことが分かりました。
さっそくWebから申し込んだところ、10分程で利用可能となり、PC、スマートフォン、ゲーム機などに「IPv6アドレス」が割り当てられました。自宅の端末は無線で「802.11ax 」によってリンクアップしており、光回線の契約内容は従来のままですが、スピードテストでは時間帯にもよりますが下りで400Mbps以上の速度が出るようになりました。契約速度を上回る結果に驚いています。

■ 技術的な補足:IPv4 over IPv6の可能性
私が契約しているプロバイダーでは、「IPv4」で提供されているサービスには「PPPoE」で接続し、「IPv6」で提供されているサービスには「IPoE」で接続する方式が採用されています。
一部のプロバイダーでは、「IPoE」接続で「IPv4 over IPv6 」という技術を提供しており、この場合には「PPPoE」のボトルネックであるネットワーク終端装置を経由せずに「IPv4」のサービスに接続できるため、さらなる通信速度の改善が期待できます。
■ おわりに:まずはプロバイダーの対応状況を確認
「IPv6(IPoE)」接続は、機器の買い替えなしで通信環境を改善できる可能性がある、非常に魅力的な選択肢です。興味のある方は、ぜひ契約中のプロバイダーの対応状況を調べてみてはいかがでしょうか。
